歯科医院から発信する食生活指導
 2010年5月23日、両国にて食育の勉強会に参加してきました。 すでに75冊もの著書のある、F&H(フード&ヘルス)研究所代表、幕内秀夫先生の講演を参考に、ご一緒に『食育』を考えていきましょう。 (ここでは他の資料も含め、今回の勉強会の内容以外にも、いろいろとお話をしていきます)

 @ とにかく朝ご飯
  ご家庭の朝食は和食ですか?それともパン食ですか?朝食はコーヒーだけ、あるいはシリアルだけ、エネルギー補給ゼリーだけ、なんて人も珍しくありませんし、一切食べないという人もいるのが現実ですね。

100ます計算で有名な陰山先生も、「成績を伸ばすには朝食を食べること」を必須条件としています。では脳には「ブドウ糖」だけが有効なので、朝から甘いものを食べれば、頭が冴えるのでしょうか。いいえ、そうではありません。

急激に甘いもの(飴、チョコなど)を食べると、急激に血糖値が上がるため、インスリンが分泌されて、血糖値を下げようとします。ですから逆に、脳に長い時間栄養が行かないのです。また急激に血糖値が下がると、イライラしたり、きれやすくなったりします。脳にはブドウ糖を蓄える事ができませんから、なるべく持続して脳にブドウ糖を送ってやることが理想的だということになるのです。

一番良いのがご飯です。ご飯の方が以下の点でパンより優れています。
@ 噛む回数が増える
A パンより早く糖質に変わり、血中に長く留まる
B 脂質がほとんどない。砂糖、塩なども含まない
C 味覚を維持するための亜鉛を、パンより多く含む

ご飯1杯(150g)に含まれる成分を上げてみましょう。

 エネルギー  222kcal  ハンバーガー1個270kcal
 糖質  47.6g  ひじき100g
 たんぱく質  3.9g 牛乳130cc 
 脂質  0.75g  6枚切り食パン1/3枚
 ビタミンB1  0.05mg  キャベツ100g
 ビタミンB2  0.02mg  大根100g
 ビタミンE  0.3mg  ごま小さじ8杯
 カルシウム  3mg  トマト小 1/3個
 鉄分  0.15mg  とうもろこし 1/3本
 マグネシウム  6mg  アスパラ5本
 亜鉛  810μg  ほうれん草 1/3束
 食物繊維  0.6g  セロリ50g

今流行の雑穀を入れれば、さらに栄養価は高まります。副食には味噌汁、のり、しらす、梅干、卵など、朝の忙しい時間に手間ひまをかけなくとも、これらで十分です。
どうしてもご飯はイヤ!と言う人もいるかもしれません。そんな方はパンでもいいですから、とにかく朝ご飯は食べましょうね。

 A 「水分補給にスポーツイオン飲料」は常識ではない。
  ポカリスエット、アクエリアス等のイオンサプライ飲料。これらを水分補給に飲みなさい、と部活の先生に言われる というお子さんも少なくないでしょう。またお子さんが下痢をしたときに、小児科の先生に「脱水症状にならないように、スポーツドリンク を飲ませて」と言われた方も多いと思います。でも、ちょっと待ってください。

ポカリスエット(500ml)の成分
●炭水化物:32.9g ●ナトリウム:245mg ●カリウム:100mg
●カルシウム:10mg ●マグネシウム:3mg   ●エネルギー:135kcal


これらの電解質は確かに含まれていますが、砂糖が約33g も入っていることはあまり知られていません(500mlの場合)。角砂糖1つが3〜5gですので、真ん中の4gとしても8個も入っていることになります。 板チョコ1枚の砂糖が15〜20gですので、板チョコ1枚半食べたようなもの。そう考えると、ちょっと怖くなりますね。

普通よく見るのは500mlのペットボトルか、340ml入りの太目の缶などですね。運動後など、 あっという間に飲み干してしまいます。それでいて、意外と水分の吸収率は低いのです。その原因は糖分の多さにあります。アメリカの小児科学会では、糖分が2〜2.5%程度が適当と言っていますが、ポカリスエットだと6.6%もあります。市販のスポーツ飲料を飲む場合、水分補給に適した値まで水で薄めた方が、断然水分の吸収率が良くなります。しかしそうすると、電解質(イオン)の濃度も薄まってしまうので、少し塩(ナトリウム)やにがり(マグネシウム)を足すなどしないと、汗をかいて排出された分を補えないことにもなりますね。(薄めた3倍量をすべて飲めれば別ですが)

実際は以下のようなものの方が望ましいのですが、医師に処方してもらわなければならず、味もあまりおいしくないので、手軽なスポーツ飲料に手が出てしまうようです。
● OS-1(経口補水液。砂糖ではなくスクラロースを使用。ポカリと同じ大塚製薬)
● ソリタT-3号顆粒(点滴にも用いられる電解質補給剤を粉末にしたもの。味の素)

OS-1成分(500mlの場合)
●炭水化物:2.5g ●ナトリウム:230mg ●カリウム:156mg
●マグネシウム:2.4mg ●リン:6.2mg ●エネルギー:50kcal


ソリタT-3号顆粒は、小児科などでも下痢がひどいときに水に溶かして飲ますように処方される薬ですので、小さいお子さんをお持ちのお母さんは、ご存知かと思います。(OS-1もソリタも、カリウム乳酸を多く含むので、乳酸血症や心臓または腎臓に重い病気がある方は、多量摂取されると危険な場合があります)
また、OS-1はがぶがぶ飲んでいいものではありません。学童〜成人(高齢者を含む)で1日量は500〜1000ml、幼児で300〜600ml、乳児で体重1kgあたり30〜60mlです。OS-1は薬局で買えますが、医師からの指示があるときに限りお飲み下さい。

とにかくスポーツイオン飲料=甘いジュースだと思ってください。今は人口甘味料(砂糖から作られた非う蝕性のスクラロースなどを利用)のイオンドリンクもありますので、そちらのほうがいいでしょう。なるべくならスポーツの後は、水か薄い塩水、麦茶、ほうじ茶などにしましょう。(緑茶や紅茶、コーヒーなどはカフェインが多く、利尿作用があるのでかえって脱水になりやすいので注意)わずかな塩分は摂取しないといけませんので、気をつけましょう。
 B 子供が野菜嫌いでなにが悪い。
  お母さんなら皆さん、子供にたくさん野菜を食べさせたいと思っていらっしゃることでしょう。 子供のきらいな野菜のトップはピーマンです。確かクレヨンしんちゃんもピーマンといつも闘っていますね。そして残すとお母さんに怒られている。(笑)野菜でも果物でも緑色の物はまだ食べられないものが多く、熟しておいしくなったものは、たいてい赤や黄色や白色なのです。トマトやバナナが緑色だったら、誰でも赤や黄色になるまで待ってから食べますね。子供はなぜか本能的に「緑色」のものを嫌うようです。

では毎日食べられるものだけでいいのか。例えば、「うちの子はキャベツとジャガイモ以外食べません」と悩んでいるお母さんがいたとします。ではキャベツとジャガイモしか食べないために、その子は病気になってしまうでしょうか。そんなことは無いのです。それよりも野菜を何でも食べるけど、スナック菓子も毎日たっぷり食べる、なんてことのほうがよっぽど良くない。

また、サトイモやオクラ、なめこ、ジュンサイ、もずくなど、ぬるぬるしたものを嫌う子供も多いようですが、これも食物が腐敗するとぬるっとしてくることを、本能的に知っているからかも知れないのです。

「栄養バランス」を気にしすぎて、ご飯を作るのが苦痛なお母さん、いらっしゃるのではないでしょうか?子供にあれもこれも食べさせたい。うまいことだまして、小さく刻んで、あるいはミキサーにかけて、わからないようにしてでも食べさせねば…と、涙ぐましい努力をされる必要はありません。

昔は畑で白菜がとれるときは、白菜だらけの食卓だったはずです。漁師さんなら肉を食べずに、その日獲れたイワシやサンマを毎日食べていたかもしれません。そんなときに子供にだけ栄養バランス重視の、特別な食事を作っていた母親はいなかった。いつも同じメニューだってOK。好きなおかずがなければ、ふりかけか卵ご飯で終わり、なんてこともありでした。私たちの年代でも、おなかが空いてご飯にバターと醤油で食べたり、納豆だけで食べたりしたことは、何度もあります。

大切なのは食事が苦痛でないこと。楽しく食べて満腹になれば良いのです。ただし、必要以上の油、砂糖には注意です。最近はなんにでもマヨネーズをかける人がいますが、マヨネーズの7割は油です。ケチャップもソースも砂糖や果糖、水あめなどが多く含まれています。そういえば我が家でも目玉焼きに醤油ではなく、ソースをかけていますね…。日本古来からある味噌や醤油が一番理想的で健康的な調味料ですが、マヨネーズの影響力は恐るべし…です。

 
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